東北青少年音楽コンクール本選会に参加されたみなさま、素晴らしい演奏を
ありがとうございました。
また、指導された先生、保護者の方々、そして開催にご尽力くださった関係者の
みなさまにも心よりお礼申し上げます。
 
まず、B・Cの課題曲であったバッハのインヴェンション、シンフォニアについて。
個人的にピアノを演奏する上でバッハを勉強することはとても大切だと考えて
います。声部と声部の重なりを感じることが「 聴く 」耳を育てるからです。
ピアノのメリットは、広い音域、そして同時にたくさんの音を出せる事ですね。
まさに一台でオーケストラのような豊かな響きを表現できます。
しかし、他の楽器とは違い一度出した音は減衰してしまい、その音を変化
させる(特にクレッシェンドさせる)事ができません。
そのため、どうしても自分が出した音がどれくらいの長さで、どのように響いて
いるかにこだわることを忘れてしまいがちになります。
そこで重要になってくるのがバッハの声部と声部の重なりです。特に長い音
には注意が必要で、「ただ伸びているだけの音」ではなく、伸びている間に動く
声部とどのように重なり、どのようなハーモニーを生み出すのかに注目して
みてください。
A部門は自由曲ということで、ロマン〜近現代に分類される作品を選んだ方が
多かったですね。
先ほど触れたバッハ、そして所謂古典に分類されるハイドン、モーツァルト、
ベートーヴェンなどの時代とは使われていた楽器が全く異なります。(ベートー
ヴェンの後期はかなりロマン派時代の楽器に近くなりますが。)
古典の時代に比べて楽器の性能が向上し、響きや楽器のアクションが格段に
良くなったことで生まれてきた音楽です。それからの楽器の(性能も含めた)
変遷を知ることがとても大きなヒントになると思うので、ぜひ勉強してみて
ください。これは出場されたすべての方に向けてですが、強い音を出す時に
力で押し込んでしまうと音がつぶれてしまいます。身体の重みを鍵盤に沈め
るような感覚を掴みましょう。
そして、演奏する上で大切なのは打鍵だけではありません。離鍵のスピードを
変えることで音の表情がガラリと変化します。表現の幅がぐっと広がるので、
ぜひ試してみてくださいね。
みなさんの熱演からたくさんの刺激をいただきました。私もみなさんに負け
ないように精進せねばと思います。
これからも一緒に楽しみながら音楽を盛り上げていきましょう!
ピアニスト:外山 啓介